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zoom RSS 遠い思い出 〜壊れかけのアップライトピアノ〜

<<   作成日時 : 2008/09/04 22:23   >>

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ふとした瞬間、ずっと忘れていた、どうでも良いような、でもとても懐かしい風景を思い出す時ってないですか?

昨日、職場でいつも掛けているFMラジオから、とても懐かしい歌が流れた。
浅田美代子さん「赤い風船」・・・ドラマ「時間ですよ」の挿入歌として流れていた曲。

それを聴いた瞬間、脳内の記憶スペースは30数年の時空を越え、記憶の片隅に放置されたひとつの風景を思い起こさせた。

どう言う経緯で其処に置かれていたのか、今となっては判らない。
中学校木造校舎旧館の管理棟一階、柔道場と生徒会室が並ぶ廊下に、不釣合いにそれはぽつんと置かれていた。
少し埃を被ったこげ茶色の、製造メーカーも解らないアップライトピアノ。
教室棟の自分の教室から、管理棟2階の職員室や図書室に行く時は必ずこのピアノの前を通らなければならず、なぜこれが音楽室ではなく廊下に置かれているのか不思議であり、何故か興味をそそられるのだった。

或る日の放課後、図書室からの帰り道・・・「誰もいない。よし、音が出るか、試しに弾いてみよう」と言う思いに駆られ、鍵盤の蓋をそっと開けてみた。鍵盤の上には保護用の布が被せられており、見た目は壊れていないようだった。
そっと布をどかし、鍵盤に触れてみる。「♪」・・・音が鳴った。
何か曲・・・と思っていたら「そうだ、あの曲!!」と、思いついた。その曲が当時大好きだった「赤い風船」だった。
と言って、私はきちんとピアノが弾ける訳ではないので、歌のメロディを音を探り、鍵盤を探しながら弾いていった。

それから暫くは毎日のように放課後の誰も通らない時間を見払ってはこのピアノを弾いた。
「赤い風船」の歌のメロディを弾けるようになるまでどのくらい時間が掛かったろう。
その間に、私がこのピアノを弾いている事を知ったクラスメイトや友人、知人達が集まり、もちろんその中には上手にピアノを弾きこなす奴もいたので、(「猫踏んじゃった」の連弾がとても見事な女子二人組みなんてのもいた)、私がこのピアノをいじる時間は減ったけれど、それまで誰も見向きもしなかったピアノは一躍脚光を浴びる事となった。

上手に弾ける奴の話では幾つかの音が出ない、若しくは出にくい。いずれにしろ老朽化で何処か壊れているんで、今、音楽室に鎮座ましましている、この学校には不似合いなグランドピアノ「スタインウェイ&サンズ」に追い出されたのだろう。と解説してくれたっけ。

そう言えば我が音楽担任の老教師は授業で音楽室やグランドピアノを使う事はめったにせず、いつも各教室にアコーディオンを肩に担いでくるのが常だった。(横森良蔵か!?古!!)
高価なピアノを余り使いたくなかったのか?余程の授業でもない限り使わず、そのグランドピアノは卒業式、入学式、文化祭、等の時の「校歌」「君が代」「蛍の光」の演奏が主な活躍の舞台だった。

私がやっと「赤い風船」をちゃんと弾けるようになった頃、この名も無い「壊れかけのアップライトピアノ」は、新校舎建設の為、木造旧校舎とともに学校から姿を消した。

中学2年の冬の事だった。

ふと、この話を元に「小説」の一つも書けそうな、そんな事を思った午後・・・(おい、ちゃんと仕事せいよ!!)←自分突っ込み

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